一般社団法人 日本接着学会 中部支部ホームページ

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中部支部の紹介動画 2020.10.22

平素より日本接着学会中部支部の活動に対して格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、弊支部の紹介と定例活動報告を動画にまとめました。

是非、ご高覧下さい。




*上記の資料(PDF)は以下よりダウンロードできます。

2020_中部支部紹介資料


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「青少年のための科学の祭典」名古屋大会 出展報告1

  日本接着学会中部支部は、去る10月5日(土)、6日(日)にかけて名古屋科学館で開催された「青少年のための科学の祭典」名古屋大会に「粘着で貼り絵・接着で工作」というタイトルで出展いたしました。
  「粘着で貼り絵・接着で工作」ブースでは、来場した子供たちに“接着の楽しさや接着剤の扱い方を学んでもらう”というテーマの下、我々も童心に返り、楽しみつつ、色を工夫された貼り絵や木片などを自由な発想・工夫で子どもたちに工作してもらいました。
  正式な報告は後ほどさせていただく予定ですが、まずは皆さんに作っていただいた名作?を日毎(5日分、6日分)に分けてご紹介します。

<保護者の方へ>
  お名前等の情報は入れてありませんので、サムネール画像とご記憶を頼りにお子さんの作品を探して上げてください。



10月5日(土)
分の作品です。

さて、ぼくの、わたしの作品はどれでしょう??

クリックすると、大きくなり、ブラウザの「もどる」でこの画面にもどります。

大きくなった写真の上で右クリックすれば、「名前を付けて画像を保存」でダウンロードできます。

       





10月6日(日)
分の作品です。

さて、ぼくの、わたしの作品はどれでしょう??

クリックすると、大きくなり、ブラウザの「もどる」でこの画面にもどります。

大きくなった写真の上で右クリックすれば、「名前を付けて画像を保存」でダウンロードできます。

     


以上                                                     文責及び写真掲載: 高橋(岐阜大)

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平成25年度日本接着学会中部支部講演会 参加報告

  2013年7月22日、愛知工業大学本山キャンパスにて「平成25年度日本接着学会中部支部講演会」が開催されました。大学、企業、公的研究機関などから合計29名が参加し、2件の講演が行われました。
  講演会は日本接着学会中部支部長の挨拶から始まり、続いて庶務幹事より支部活動の報告及び支部の紹介がありました。その後、「生物から学ぶ接合」というタイトルで物質・材料研究機構の細田奈麻絵先生による1件目のご講演が行われました(写真)。
  近年、リサイクルを基調とした循環型社会の実現が期待されるなか、生物のもつ構造や機能から得た知恵をものづくりに応用する「バイオミメティクス(生物模倣)」という科学技術が注目を浴びています。生物はそれ自身が持つ微細構造により、高効率・高性能・省エネルギーを実現しており、その知恵をものづくりに応用することで、環境低負荷技術の発展に大きく寄与できると期待されています。そういった背景の下、この講演では、ヤモリを中心とした、私達の身の回りにいる生物の接着・剥離機能のしくみやその研究の紹介が行われました。接着・接合強度を大きくする要因の1つである接触部の密着性を向上させる方法として、人工的な接合では接触部を原子レベルで平坦化させるのに対し、ヤモリなどの生物は接触部分を分割・薄片化し、また、変形し易いように細長く薄い毛状の表面を創るといった人工的接合技術と生物接着の違い、水平面に対して角度を変えることで可能となる可逆的接着、ごみが足裏の微細な毛に付着し、著しく接着力が低下した状態から再び接着力を回復させるセルフクリーニング機能、それらを応用した毛状接着剤の開発など、とても新鮮で学術的にも面白い内容を学ぶことができました。
  2件目は名古屋大学大学院工学研究科の佐藤浩太郎先生による「機能性バイオベース高分子材料開発に向けた植物由来ビニルモノマーの精密重合」というご講演でした。近年のリビング重合をはじめとした制御重合技術の進歩、また社会的ニーズとして持続可能な循環型社会の形成が求められるといった背景から、佐藤先生は、新規なバイオベースポリマーの開発を目的として、比較的安価で再生可能な植物由来ビニルモノマーにおける制御重合に関する研究を行っておられ、その成果について紹介をされました。この講演では、マツ科植物から直接採取されるテレビン油の主成分であるβ-ピネンを用いたリビングカチオン重合によるバイオベースシクロオレフィンポリマーの開発を始めとして、香料などに用いられるアニス油の主成分であるアネトールなどのバイオベーススチレン(フェニルプロパノイド類)の重合、グルコースの発酵によって得られるイタコン酸やその異性体であるシトラコン酸誘導体などのバイオベースアクリルの重合など、様々な植物由来のビニルモノマーと制御重合を用いることで新たな高分子材料の開発が可能であるという、こちらもとても興味深いお話でした。
  このような講演会に参加したのは初めてでしたが、被着体に木材という自然由来の材料を対象に研究している私にとって、今回、生き物を題材とした2つの講演はとても有意義でありました。

    (静岡大学大学院農学研究科修士課程2年 安田光輝)

細田奈麻絵先生のご講演
    写真 細田奈麻絵先生のご講演

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知の拠点あいち 中部シンクロトロン光利用施設(仮称) 見学会開催報告

接着に係わる技術的・人的交流を目的として中部支部では毎年、工場見学会を開催しています。今年度は、2月25日に『知の拠点あいち 中部シンクロトロン光利用施設(仮称)』を見学させて頂きました。SPring-8と比べると非常にコンパクトな施設ですが、真空紫外、軟X線から硬X線の波長範囲のビームラインを取り出せるので、XAFS、小角・高角X線散乱、X線回折、X線反射率等の様々な分析が可能であるとのこと。有機材料や複合材料、分散系などナノレベルの分析技術として幅広い応用展開が期待されています。接着技術に関しても、非破壊・実試料での分析が出来ることから、界面状態の分析など更に可能性が広がるものと感じました。
見学会に続いて行われた講演会の部では、下記2講演を開催致しました。

1)愛知工業大学  山田 英介 教授
「ウレタン系の粘接着剤~基礎から~」

2)シンクロトロン光センター産業利用アドバイザー  古宮 聰 先生
「放射線による高度分析技術 ~有機材料評価と接着科学への応用」

愛知工業大学の山田英介先生からはウレタン系材料の基礎から、最新の水系ウレタン材料や興味深いジェルなどをご紹介頂きました。また、シンクロトロン光センター産業利用アドバイザーの古宮聰先生からは、SPring-8を含め、これまでに手がけた研究内容について大変わかりやすく説明頂きました。
筆者にとって初めての見学会でしたが、参加することでしか得られないモノが沢山ありました。この有意義な時間を多くの方々に知ってもらい、参加頂くべく興味ある見学会を企画して参りますので、今後ともよろしくお願い致します。

そして最後になりましたが、ご講演頂いた山田英介先生、古宮聰先生やシンクロトロン光センターの方々のご協力により大変有意義な時間になりました。そして、参加頂いた皆様方のおかげで見学会を気持ちよく進行することが出来ました。
皆様に、心より感謝すると共に厚く御礼を申し上げます。ありがとう御座いました。

講演会の写真を掲載いたします。


山田先生のご講演
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古宮先生のご講演
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第11回産官学接着若手フォーラム 開催報告

去る12月7日(金)、愛知工業大学本山キャンパス(名古屋)にて開催されました産官学接着若手フォーラムの開催報告を下記に掲載いたします。
今回は講演をいただいた方にお願いして、その視点からの報告を執筆いただきました。


<報 告>

第11回 産官学接着若手フォーラム 開催&参加報告

中部支部の恒例企画である「産官学接着若手フォーラム」が、平成24年12月7日午後1時より愛知工業大学(本山キャンパス)にて開催された。本フォーラムは、将来を担う若手の接着科学者・技術者の育成と交流および産官学連携の機会作りを目的とし、第一線で御活躍されている研究者による基調講演、若手研究者・大学院生によるフォーラム講演、ポスターを囲んだ討論&談話会を行う研究会合である。今回は64名(講師4、企業19、大学官公庁10、学生31)が参加された。
基調講演では、「フィラー/樹脂の界面制御 ~高分子系ナノコンポジット材料~」という演題で永田員也先生(旭化成ケミカルズ株式会社)に御講演頂いた。永田先生は、近年実用化段階に入ってきたナノコンポジットの概要と可能性について、御自身の研究例を交えつつ簡潔明瞭に御話下さった。
フォーラム講演では、恥ずかしながら私が一番手として「クレージング制御によるナノ多孔高分子フィルムの開発 ~電池セパレータへの応用~」と題し、講演させて頂いた。続いて、今井祐介先生(産業技術総合研究所)に「ナノ粒子の表面制御と分散性」と題し、ナノコンポジットの特性に与えるフィラー分散性の影響およびその制御方法について分かりやすい御講演を頂いた。関西支部の佐藤絵里子先生(大阪市立大学)には「硬化収縮を利用する可逆的な濡れ性変換」と題し、光架橋性ポリマーの体積収縮を利用した濡れ性変換に関する興味深い御講演を頂くとともに、関西支部の活動に関しても御話頂いた。次年度以降、中部支部・関西支部による合同フォーラム等の開催が期待される。
基調講演、フォーラム講演ともに、参加者はそれぞれの立場から興味深く聴講されたようで、活発な議論が飛び交う有意義な時間であった。
討論&談話会では、ポスター発表に先立ち、恒例の1分間レビューが行われた。緊張がにじみ出ている学生がいる一方、ちゃっかり就職活動をする学生もいるなど、研究内容の概略だけでなく各自の個性も垣間見ることができ、大変好評であった。また、ポスター発表(19件)自体も、懇親会に似た雰囲気の中でお酒の力も手伝い、参加者同士が自由闊達に意見交換や討論を行うことができ、活気ある盛況なものとなった。
本フォーラムの特徴は、いわゆる学会発表とは異なり、研究の途上にあるものでも発表し、専門家や他分野の方にアドバイスを仰ぐことができる点にある。つまり、気軽に参加できる上、収穫も多い。また、大学院生が"講演"という形で自分の研究の総論的な内容を話す機会を得られることも大きな特徴である。今回は幸いにも、私がその機会を頂戴した。講演ということで、準備の段階から日頃の学会発表とは異なる緊張感とワクワク感を体験でき、何より講演を経験させて頂いたことによって、研究者の卵として大きな自信を得ることができた。大学院生にとっては、願っても経験できないような貴重な機会を与えて下さったことに深く感謝申し上げる。
最後に、「産官学接着若手フォーラム」が今後も若手に挑戦の場を与えるという良き伝統を受け継ぎながら、発展し続けていくことを願うとともに、本フォーラムの運営に御尽力頂いた中部支部関係者様に心より感謝申し上げます。
(岐阜大学大学院工学研究科 博士後期課程3年  内藤 圭史)

写真1 佐藤絵里子先生によるフォーラム講演
写真1 佐藤絵里子先生によるフォーラム講演

写真2 討論&談話会(ポスター発表)
写真2 討論&談話会(ポスター発表)
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第7回産官学接着若手フォーラムの開催記事(接着剤新聞)

  日本接着学会中部支部主催の第7回産官学接着若手フォーラムが昨年12月5日(金)に名古屋工業大学で開催されました。第7回目を迎えた接着若手フォーラムは、毎回接着関連の多くの若手研究者・技術者並びに学生諸君を集め、忌憚のない気軽な討論の場を提供しております。今回も50余名の関係諸氏が集い、熱心な討論が行われました。
参加された皆様には厚く御礼申し上げます。

接着剤新聞に当該フォーラム開催の記事が掲載されました(お読みになるには以下の画像をクリックして下さい)。

第7回フォーラム開催記事

---注 目---
  今年度も、接着の基礎となる科学の再学習の機会を提供するために「接着講座マスターコース」を開講いたします。
関係諸氏の皆様におかれましては、この機会に是非ご受講下さい。詳細はココをクリックしてご参照下さい(受講申し込みはココから簡単にお申し込みいただけます)
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第6回 産官学接着若手フォーラム報告


中部支部の企画として、平成19年12月7日午後1時より岐阜大学工学部にて「第6回産官学接着若手フォーラム」を開催した。
「産官学接着若手フォーラム」は次世代の接着科学・接着技術を担う若手研究者の育成と交流、そして産官学連携の機会を目的とし、指導的立場の研究者による基調講演と大学院生・若手研究者による口頭(フォーラム)発表、そして殻となるポスターを囲んでの討論を談話会形式で行えるように企画している研究会合で、今回で六回目を迎えることができた。
第6回目の参加人数は43名(企業9名、大学・県の研究機関 7名、学生 27名)であった。

基調講演として、演題「リビングアニオン重合による水溶性・感温性高分子の精密合成」を石曽根隆氏(東京工業大学大学院 准教授)に講演していただいた。石曽根氏は、最近ますます複雑化している精密重合の手法と応用について、ご自身の研究例を交えて非常に分かりやすくお話しをされた。
引き続き行われたフォーラム(口頭)講演4件、ポスター発表20件では、若手の育成と自己啓発という面を重視して討論を十分できるように配慮した。今回のフォーラム講演は全て応用研究であったが、参加者はそれぞれの立場から興味深く聴講されたようで、活発な議論が飛び交った。
また、その後のポスター談話会では学生からの報告が殆どのためか、学生参加者同士の意見交換や議論が気軽に為され、指導的立場にある研究者の参加とお酒の力?も相まって盛況な談話会になった。

一方、本フォーラムはその主旨から観ても、学生のポスター発表が多く、発展途上の内容も含むためか、即実用を好む企業からの参加者が非常に少ないのが恒常的な悩みとなっている。本フォーラムの今後の発展のため、企業関係者の皆様には若手の育成という重要な趣旨を理解いただき、温かい目でご参加・ご支援を賜りたい。

謝辞  本フォーラムの運営に尽力いただいた中部支部関係各位に対し深く感謝申し上げます。

(アイカ工業(株)佐藤克尚、名古屋工業大学 永田謙二、静岡大学 山田雅章、愛知県産業技術研究所 高橋勤子、岐阜大学 高橋紳矢)

石曽根先生、ご講演の様子
石曽根先生、ご講演の様子

ポスター談話会の一コマ
ポスター談話会の一コマ
追記:
第六回接着若手フォーラムの開催記事が接着剤新聞(第979号、2008.1.10、新樹社)に掲載されました。記事写真をクリックしてお読み下さい。
第六回フォーラム記事
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「名古屋市科学館フェスティバル」出展報告


去る10月6日、7日に開催されました”青少年のための科学の祭典2007「科学館フェスティバル」”にて、当支部は「接着のふしぎ-くっつく・はがれる」と題して出展いたしました。以下に担当者による報告を掲載いたします。

名古屋市科学館フェスティバル
~青少年のための科学の祭典2007~ に出展いたしました

名古屋市科学館でんきの科学館で毎年、「青少年のための科学の祭典」が開催されています。次世代を担う青少年や保護者、一般の方々に接着剤を身近に感じて頂くため、今年から中部支部として参加させて頂きました。テーマは、「粘着で貼り絵と接着で工作」、「接着のふしぎ-くっつく・はがれる」で、2つのブースを使用して出展いたしました。

「粘着で貼り絵と接着で工作」では、カラフルな粘着テープを絵本にちぎってはったり、瞬間接着剤、ホットメルト接着剤やエマルション接着剤で様々な形の木材等を接着したりと、自由な発想でお絵かきや工作を楽しんで頂き、「接着のふしぎ」では、接着できる材料とできない材料の濡れの違い、光硬化樹脂が短時間で硬化し、それをお湯に入れると膨張して簡単にはがせることを体感して頂きました。各コーナーを通じて、様々な接着剤の特性の違いを体感頂けたものと思います。今回、各コーナーで製作されたものは、いずれも創造力・発想力に富んでおり、個性豊かな作品ばかりでした。2日間を通じ、大変多くの方々に参加いただき、どうもありがとうございました。

出展の様子を掲載いたします。

以 上

*以下は出展時の写真です(クリックで拡大します)。

出展時の様子1
出展時の様子1

出展時の様子2
出展時の様子2

完成した貼り絵です♪
完成した貼り絵です♪

完成したのは鳥?それともバッタ?かな
完成したのは鳥?それともバッタ?かな

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工場見学会開催報告


三菱自動車工業(株)殿の工場見学会を開催いたしました

接着に係わる技術的・人的交流を目的として中部支部では毎年、工場見学会を企画しています。今年は、9月13日に三菱自動車工業(株)名古屋製作所(岡崎工場)を見学させていただきました。名古屋製作所では、国内外で評価の高い「アウトランダー」をはじめ「コルト」、「グランディス」、「コルトプラス」をフル稼働で生産されています(写真をご覧ください)。その生産ライン横の見学コースをご案内いただきましたので、車体が組みあがっていく様子や接着剤・シ-リング材が塗布されている様子を間近で見ることができ大変参考になると共に、本で読んだり、講演会などで話を聞いたりして得た情報が、実際に見ることにより、理解度が高まることがよく分かりました。

今回は工場見学の後に「三菱自動車の材料分野の取り組みと課題」についてのご講演を聞かせていただきました。現在の自動車産業を取り巻く環境について、「軽量化」、「VOC低減」、「植物由来樹脂・グリーンプラスチック」などのお話をいただき、その後の活発な質疑応答が参加者の皆さんの関心の高さをよく示していると感じました。
見学の様子や講演会の様子を掲載いたします。
また、この工場見学会についての接着剤新聞の記事(10月1日号)も掲載いたします。


三菱生産車種.gif
三菱自動車名古屋製作所生産車種


見学会1.JPG
見学会の様子1


見学会2.JPG
見学会の様子2


見学会3.JPG
見学会の様子3


見学会の接着剤新聞記事.gif
見学会の記事(接着剤新聞'07.10.1)



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中部支部から2名・1社(4名)の受賞者!!


去る6月28、29両日に渡って開催されました日本接着学会第45回年次大会(東京大学弥生講堂)に於きまして、当支部所属の2名・1社(4名)に、それぞれ功績賞、進歩賞、技術賞の三賞が授与されました。本稿では、これを記念しまして受賞者の方々にそれぞれ受賞にあたっての短稿及び受賞理由をいただいておりますので、以下に受賞時の記念写真と共に掲載致します。

受賞された皆様、本当におめでとうございました。


授賞時記念写真 受賞者一同記念写真(於 東大弥生講堂)

◎ 功績賞: 稲垣 訓宏氏 (静岡大学工学部 名誉教授)

稲垣氏受賞の様子

稲垣訓宏氏は、高分子材料表面を機能化する技術として低温プラズマを利用した表面改質、ならびに機能性薄膜を創製する技術の開発に著しい功績があり、さらに日本接着学会・中部支部の発展に多大な貢献したとして平成19年度日本接着学会功績賞を受賞しました。
その功績の概略を説明します。

プラズマの中には、高分子材料の表面に作用して化学反応を引き起こす化学的に活性な種(電子、イオン、ラジカル)が存在する。"表面改質はどの活性種が関与しているのか?" の疑問に応え、プラズマ中のラジカルが表面改質の鍵を握っていること、このラジカルを有効に使う手法として "リモートプラズマ処理"という画期的な概念を同氏は打ち出した。
これらの研究成果は、Macromolecule, Journal of Applied Polymer Scienceなどへの国際学術雑誌へ発表、特許(リモートプラズマによる表面処理方法、公開平08-071144)を申請すると同時に、全260ページからなる書籍"Plasma Surface Modification and Plasma Polymerization"をアメリカから1996年に出版している。この書籍は、現在でもプラズマ処理、プラズマ重合の分野のバイブルの一冊として世界中で読まれている。

リモートプラズマ処理の概念はさらに細密化され、特定の化学種を表面に導入する表面改質(選択的表面改質、Selective Modification)へと進展させ、この技術はアモルファスカーボン表面へ展開し、DNAチップ用の基板へと展開されている。

国内外の学会および国際会議においても、これらの研究発表を積極的に行い、低温プラズマを応用した高分子材料の表面機能加工について、世界レベルでの技術の開発、推進の一翼を担った。長年にわたる国内外の研究者たちとの交流を礎に、2006年には、静岡県浜松市に於いて、"International Symposium on Science and Engineering of Interface Engineering"と題する、国際シンポジウムを同氏がオルガナイズして開催し、ヨーロッパ、アメリカ、アジア各国、および、国内の大学、企業の研究者らが多数参加して、好評を博した。

同氏は日本接着学会においても、本部評議員、中部支部幹事を長年にわたり歴任し、理事会活動、支部行事など積極的に遂行した。第39回 年次大会(2001年7月5、6日、金沢工業大学で開催)、ならびに第44回 年次大会(2006年6月30日、7月1日、愛知工業大学で開催)では、実行委員として、精力的に活動し、大会を成功させた。
また、中部支部において、接着入門講座、接着講座マスターコースの講師として「表面処理」の分野を講義し、最先端の技術を分かり易く紹介して好評を得た。

以上のように、稲垣訓宏氏は高分子材料表面を機能化する技術の開発に著しい功績があり、さらに日本接着学会・中部支部の発展に多大な貢献をしたことが認められ、今回、日本接着学会功績賞を受賞しました。


◎ 進歩賞: 山田 雅章氏 (静岡大学農学部環境森林科学科)

受賞研究テーマ: アセトアセチル化PVAの木材用接着剤への適用に関する研究

山田氏受賞講演の様子

この度は、「アセトアセチル化PVAの木材用接着剤への適用に関する研究」に対し、日本接着学会進歩賞という大変名誉のある賞をいただき、誠にありがとうございました。身に余る光栄と存じております。

ところで、この原稿は中部支部事務局をされているイイダ産業(株)の佐藤さんから、授賞式後の懇親会場で依頼されました。佐藤さん曰く「山田先生の受賞の模様を中部支部のHPに載せたいのですが、堅苦しいことを書いても誰も読みませんから、面白く書いてください」とのことでした。真面目な私にこんな要望をする佐藤さんは少々無謀ですが、いつもお世話になっている佐藤さんから頼まれた以上、引き受けざるを得ません。面白いかどうかはさておき、以下にこの研究にまつわるエピソードなどをご紹介したいと思います。

私が大学に赴任した約10年前、ちょうどシックハウス問題が顕在化し、これに対して様々な対応が始まった時期でした。私も化学物質の放散が無い(少ない)接着剤の開発が必要であることを感じており、何か新しい接着剤の開発でも始めようかと考えていたところ、当時名古屋にありました松栄化学工業(株)様から新しいタイプの酢酸ビニル樹脂エマルジョン(以下酢ビ)が開発されたことを知りました。

この酢ビは保護コロイドに反応性の高いアセトアセチル化ポリビニルアルコール(以下AA化PVA)を用いたもので、その反応性を利用して保護コロイド性を向上させるばかりでなく、接着性や耐水性をも改善した新しいタイプの接着剤でした。ちょうど大学時代のOBが松栄化学さんに在籍していたため、興味を持っているとのお話をしたところ、共同研究をすることになり、その基礎物性や反応メカニズムを研究することになりました。阿高さん、江崎先輩には大変お世話になりました。ありがとうございました。

その後、松栄化学工業(株)様の紹介でAA化PVAの製造メーカーである日本合成化学工業(株)様とも共同研究をさせていただくことになりました。共同研究をはじめて以来、渋谷さんをはじめ中央研究所の方々には大変お世話になっており、この関係は現在も続いております。今回の受賞内容となったPMDIの分散性に関しても、その実験のほとんどを中央研究所にて行わせていただきました。この場をお借りして感謝の意を表します。

ところで、今回の受賞に関しまして、多くの中部支部幹事の皆様方にお世話になりました。
中でも、岐阜大工学部のかせ村先生、高橋先生には本当にお世話になりました。3年程前の中化連で私がAA化PVA側鎖の有するPMDI分散性についての発表を行ったところ、かせ村先生からPVA水溶液の表面張力を測定すればもっと明確にその現象を説明できるとアドバイスをいただき、「うちの研究室で測定できるから一度来てはどうか」とのお誘いをいただきました。早速、学生を連れて測定に出向き、表面張力および界面張力の測定をご指導いただきました。本当にご丁寧なご指導、ご助言をいただき感謝しておりますとともに、このデータがあったからこそ、論文に説得力が生まれたものと思っております。また、支部長でいらしゃいます愛知工業大学の山田英介先生および同尾ノ内先生には推薦の件で大変お世話になりました。心より感謝いたします。

ところで、受賞候補者になりますと審査員の前で研究内容のプレゼンテーションを行います。当初、12分間のプレゼンと7分間の質疑応答があると聞いておりました。しかし、実際には質疑が20分近くありました。質問が段々と厳しくなり、最後の方は審査員先生の興味の話か?といった内容で、しどろもどろの返答になってしまいました。
こんな厳しい質問を受けるのは学生時代以来のことでしたが、自分にとって大変良い経験になりました。また、偶然かもしれませんが、審査員の中には中部支部幹事の方もいらっしゃいまして、その際にバックアップをいただきました。ありがとうございました。

ともあれ、このような光栄な賞をいただき、繰り返しになりますが感謝の気持ちで一杯です。今後、日本接着学会はもとより、中部支部のために貢献できるよう精進する次第であります。こんな私ですが、今後とも宜しくお願い致します。


◎ 技術賞: 日東電工株式会社(愛知県豊橋市)

・有満 幸生氏 (日東電工(株) インダストリアル事業本部 商品開発部主任研究員)
・村田 秋桐氏 (日東電工(株) インダストリアル事業本部 商品開発部主任研究員)
・下川 大輔氏 (日東電工(株) インダストリアル事業本部 商品開発部研究員)
・岸本 知子氏 (日東電工(株) インダストリアル事業本部 品質保証部研究員)


受賞研究テーマ: 熱剥離シート「リバアルファ」の開発

日東電工 有満氏受賞の様子

日東電工㈱のリバアルファが接着学会技術賞を受賞した。技術賞は、粘着技術の進歩に大きく貢献したと共に、社会的な普及に寄与した企業製品を表彰とするものである。ユーザーからの漠然とした要望であった「しっかり接着するが、簡単に剥がれてくれるテープが欲しい」という課題の実現に果敢に挑戦し、その相反する特性を両立させたユニークな粘着シート"熱剥離シート;「リバアルファ」"の開発に世界で初めて成功した。

「リバアルファ」は、必要な時には強固に接着し、剥離したい時には加熱するだけで接着力がなくなる画期的な粘着シートである。例えば、加熱前は4N/20mmの粘着力を有し、90℃で秒単位の加熱をすることで自然剥離する。上記の相反する特性を両立させるため、熱膨張性微粒子に注目したことに大きな成功要因があった。リバアルファを加熱すると、粘着剤中の熱膨張性微粒子が大きく膨らみ、粘着剤層表面に微細な凹凸を形成する。
そして、粘着剤と被着体とが面で接着した状態から点での接着へと変化し、接着面積が大きく減少する。これが剥離のメカニズムで、接着力を瞬時に消失させることを可能にした。

当初は売上げが上がらず、特定のユーザーで使用される特殊な製品であったが、今は、そのユニークな機能が認められ、国内外ほとんどの積層セラミックコンデンサーメーカの各種製造工程で使用されている。


編集及び体裁: 高橋 紳矢(岐阜大学工学部)

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