一般社団法人 日本接着学会 中部支部ホームページ

このブログスタイルHPは日本接着学会中部支部が運営しております

第11回産官学接着若手フォーラム 開催報告

去る12月7日(金)、愛知工業大学本山キャンパス(名古屋)にて開催されました産官学接着若手フォーラムの開催報告を下記に掲載いたします。
今回は講演をいただいた方にお願いして、その視点からの報告を執筆いただきました。


<報 告>

第11回 産官学接着若手フォーラム 開催&参加報告

中部支部の恒例企画である「産官学接着若手フォーラム」が、平成24年12月7日午後1時より愛知工業大学(本山キャンパス)にて開催された。本フォーラムは、将来を担う若手の接着科学者・技術者の育成と交流および産官学連携の機会作りを目的とし、第一線で御活躍されている研究者による基調講演、若手研究者・大学院生によるフォーラム講演、ポスターを囲んだ討論&談話会を行う研究会合である。今回は64名(講師4、企業19、大学官公庁10、学生31)が参加された。
基調講演では、「フィラー/樹脂の界面制御 ~高分子系ナノコンポジット材料~」という演題で永田員也先生(旭化成ケミカルズ株式会社)に御講演頂いた。永田先生は、近年実用化段階に入ってきたナノコンポジットの概要と可能性について、御自身の研究例を交えつつ簡潔明瞭に御話下さった。
フォーラム講演では、恥ずかしながら私が一番手として「クレージング制御によるナノ多孔高分子フィルムの開発 ~電池セパレータへの応用~」と題し、講演させて頂いた。続いて、今井祐介先生(産業技術総合研究所)に「ナノ粒子の表面制御と分散性」と題し、ナノコンポジットの特性に与えるフィラー分散性の影響およびその制御方法について分かりやすい御講演を頂いた。関西支部の佐藤絵里子先生(大阪市立大学)には「硬化収縮を利用する可逆的な濡れ性変換」と題し、光架橋性ポリマーの体積収縮を利用した濡れ性変換に関する興味深い御講演を頂くとともに、関西支部の活動に関しても御話頂いた。次年度以降、中部支部・関西支部による合同フォーラム等の開催が期待される。
基調講演、フォーラム講演ともに、参加者はそれぞれの立場から興味深く聴講されたようで、活発な議論が飛び交う有意義な時間であった。
討論&談話会では、ポスター発表に先立ち、恒例の1分間レビューが行われた。緊張がにじみ出ている学生がいる一方、ちゃっかり就職活動をする学生もいるなど、研究内容の概略だけでなく各自の個性も垣間見ることができ、大変好評であった。また、ポスター発表(19件)自体も、懇親会に似た雰囲気の中でお酒の力も手伝い、参加者同士が自由闊達に意見交換や討論を行うことができ、活気ある盛況なものとなった。
本フォーラムの特徴は、いわゆる学会発表とは異なり、研究の途上にあるものでも発表し、専門家や他分野の方にアドバイスを仰ぐことができる点にある。つまり、気軽に参加できる上、収穫も多い。また、大学院生が"講演"という形で自分の研究の総論的な内容を話す機会を得られることも大きな特徴である。今回は幸いにも、私がその機会を頂戴した。講演ということで、準備の段階から日頃の学会発表とは異なる緊張感とワクワク感を体験でき、何より講演を経験させて頂いたことによって、研究者の卵として大きな自信を得ることができた。大学院生にとっては、願っても経験できないような貴重な機会を与えて下さったことに深く感謝申し上げる。
最後に、「産官学接着若手フォーラム」が今後も若手に挑戦の場を与えるという良き伝統を受け継ぎながら、発展し続けていくことを願うとともに、本フォーラムの運営に御尽力頂いた中部支部関係者様に心より感謝申し上げます。
(岐阜大学大学院工学研究科 博士後期課程3年  内藤 圭史)

写真1 佐藤絵里子先生によるフォーラム講演
写真1 佐藤絵里子先生によるフォーラム講演

写真2 討論&談話会(ポスター発表)
写真2 討論&談話会(ポスター発表)
  • -