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「第10回産官学接着若手フォーラム」開催報告

  今年で10回目を迎える「産官学接着若手フォーラム」が、2011年12月2日(金)に愛知工業大学本山キャンパスにて催されました。参加者は企業16名、官公庁・大学12名、学生22名の合計50名であり、参加大学は愛知工業大学、岐阜大学、名古屋工業大学、静岡大学でした。今回は基調講演1件、フォーラム講演3件、ポスター発表17件が行なわれました。

  会は接着学会中部支部長の挨拶から始まり、続いて静岡大学の祖父江先生による基調講演を聴講しました。「木を工業材料に変える -ばらつきを整えて使う-」というタイトルで、木材の性質やそれを工業材料として扱うためにはどのようにすべきか等のお話を伺いました。木材は、使用者の目的によっては優れた材料であるが、工業利用の観点からは材質のばらつきが大きいため、その制御をすることが難しい材料です。しかし、木材を細分化し欠陥を取り除きつつ、再構築することで様々な要求性能に応えた木質材料の開発がされてきました。そこには、接着技術の進展が不可欠であることが分かりました。

  次に、官公庁や企業の方々の行なっている研究について下記3件のフォーラム講演が行なわれました(写真)。
名古屋市工業研究所の林英樹氏からは「新規π共役化合物の合成とその応用」というタイトルで、π共役化合物を用いた着色プラスチックの開発に関するお話を伺い、分子設計により高分子材料の特性を変化させる面白さについて学びました。

  (株)岐阜セラツク製造所の中貝雄一郎氏からは「アクリル系ブロックポリマーによる水系顔料分散挙動」というタイトルで、顔料分散剤としてブロックポリマーを用い印刷物への顔料吸着の安定化を図る研究についてのお話を伺いました。また、事業内容の一つであるラックカイガラムシから採れるセラックという天然樹脂の用途についてのお話はとても興味深かったです。

  静岡県工業技術研究所の山下理恵氏からは「建材からのVOC放散 -測定現場におけるTVOCの解釈-」というタイトルで、化学物質の濃度指針値や、測定事例を基にした接着剤や材料から放散されるTVOCの発生要因についてお話を伺いました。気中濃度測定にはいくつかの方法があり、目的に合った測定法を選択することで化学物質放散源の原因究明に役立てられることが分かりました。

  講演聴講後会場の机を片付け、ポスター発表のための会場準備をしました。ポスター発表ではまず発表者が自身の報告について約1分のプレビューをし、その後ポスター討論が行なわれました。ポスターは企業から2件、学生から15件の発表があり、質問やアドバイス等を頂きながら活発な討論が行なわれました。談話会の乾杯の挨拶をアイカ工業(株)佐治様からいただき、参加者全員がビールやウーロン茶を片手に談話会を楽しみました。

  私は今回を合わせて2年連続してこの若手フォーラムに参加させていただきました。年次大会のような大きな会場での発表はすごく緊張してしまいますが、この会では全員が一つの会場の中に居て同じ講演を聴き、談話会の中でポスター討論が行なえるため、程良い緊張感のある中で有意義な意見交換が出来ました。ありがとうございました。

(静岡大学大学院 農学研究科 環境森林科学専攻 古田陽子)


フォーラム講演の様子
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